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【ミスター・ウインカー物語 その2】

幼い頃に母を亡くしたウインカーが、笑って走り回っていられたのは、優しい祖父と、おおらかな伯母一家のおかげでした。

軍人であるウインカーの父は家を空けることが多かったので、ウインカーは母の妹である伯母夫婦の家でしばしば過ごしたのです。

マリー伯母さんには、ウインカーと年の近い二人の子供がいました。ドミニクとマドレーヌです。

歴史好きのマリー伯母さんが話してくれる冒険物語を三人で並んで聞いた後には、やはり三人でぶどう畑の間を走りながら探検し、綺麗な石を見つけたら、競ってマリー伯母さんにプレゼントしたものでした。

ぶどう園ではアルフレッド伯父さんが気象観測をしていました。伯父さんは気象庁に勤めていて、農夫に気象情報を提供することが主な仕事でしたが、農業についても博学で、農業指導などもしていました。

昔から、その年の天候などによって、ぶどうの出来も違ってくるため、農民は大変でした。出来高は多くても、買い手であるワインの醸造元が安値を付けることがあります。

豊作だと喜んでいた農民たちが、肩を落として屋敷へ来ることは少なくありませんでした。

祖父亡き後、ウインカーはアルフレッド伯父さんにに相談し、ワインに適したブドウ作りについて研究を始めました。

失敗することも多かったのですが、ウインカーの農園のブドウはしだいに評判となっていったのです。

いつしか醸造元のご主人は、ウインカー農園のブドウを喜んで使うようになりました。そのご主人の娘がマルトだったのです。

都会で醸造学について沢山学び、ワイン作りに一切の妥協はしない父親の情熱を受け継いだ彼女のワインについての話は面白く、時が経つのを感じませんでした。

マルトといると和んだ気持ちになり、ウインカーはいつまでも彼女と一緒にいたいと思うようになりました。
 
ウインカーは研究の合間にたびたび醸造元を訪れるようになり、またマルトもエドュアールおじいさまの残したコレクションの整理を手伝いに屋敷へ出かけてくるようになるのに、時間はかかりませんでした。

そしてランスロット・ウインカーとマルトは大勢のひとに祝福されて、結婚しました。

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