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【ミスター・ウインカー物語 その6】

結婚30年目の日を迎えて幸せだったのはマリー伯母さん、アルフレッド伯父さん夫婦だけではありませんでした。 そこに集まったみんなが同じ気持ちでした。

伯母夫婦だけでなく、みんなを幸福に包んだ、結婚記念日の年のワイン。


同じ歳月が封印されている、年号ワインの持つ不思議な魅力にすっかりまいってしまいました。

他の誰かも、自分達のように幸せな時間を過ごせるようにしてあげたい、とウインカーは考えました。

それは今はそばにいない、おじいさまやお父さま、お母さまから受けたまま返すことができなかった愛を誰かに贈ることにもなりうる。

エドュアールおじいさまの残してくれたワインの素晴らしさを、ようやく理解できたような気がしました。

「ねぇ、ランス。子供にさわるといけないから、ひとくちしか飲めなかったけど。私、今日のワインの味を一生忘れないわ。」

醸造元の娘としてワインと共に生活してきたマルトですが、ワインにこんな不思議な力があるとは思いもよりませんでした。

マルトの吐く息は白く、鼻の頭は赤くなっていましたが、少しも寒そうではありませんでした。ウインカーは自分の襟巻きを外すと、マルトの肩にかけてやりました。

マルトはお腹に手をやりました。

「この子にもきっと伝わったわよ。おじいさまやご両親のあなたへの気持ち。そして伯母さまたちや、私達みんながどんなに愛情に満ちた日々を重ねてきたか。」

辛かった日々も今は遠く、決して無駄ではなかったと信じられるのは、心が通い合う
マルトが側にいるからかもしれません。ウインカーはマルトの言葉に満たされていきました。

「幸せな記念日作りを一緒にやっていかないか。」

マルトは目を輝かせました。

「素敵ね。みんなのために、100年分のワインを集めましょう。」

ウインカーとマルトは、まだ見ぬあなたのためにワインを用意して待っています。
ふたりの想いがあなたの気持ちに重なり、素敵な記念日となりますように。

〜おしまい〜

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