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ヴィンテージワインの楽しみ方

ヴィンテージワインの楽しみ方

ヴィンテージワインを楽しむ際に一番大切なことは
「おおらかな気持ちでその時を楽しむ」ことです。

ワイン生産者も、飲み手に喜びを得る時間を過ごしてもらうためのドリンクを造ることを大切に思いワイン造りに精を出しています。

1本のヴィンテージワインとの出合いは 奇跡 です。
運命的なワインを目の当たりにしたら、もうジタバタせず、のーがきは並べず、今日までの時の経過を尊び、大地の宝物を享受する気持ちで頂きましょう。
共に味わう人がいる場合は、一緒の時を楽しく過ごすことが一番大切です。

五感で楽しもう

「お気軽に」とはいえ、貴重な1本を思い残すことなく存分に堪能するために、人間が持つ五感からポイントをお教えしましょう。

①視覚(色)

まずは、ボトル外観からの色を楽しみます。
緑や茶色がかったガラスのボトルが多く、鮮明には見えづらいですが、本来の色を想像することから楽しさが始まります。

色の予想ができたら、次にグラスに注ぎます。
グラスの縁から中央部にかけて色のグラデーション見られます。

健やかに熟成した古いワインほど色の違いが見受けられます。

赤ワインでは、
グラス縁から 透明~サーモンピンク色~オレンジ~褐色~赤~ガーネットへ

若いワインに見られる紫色は、熟成によって赤みが落ち着いたガーネット色へ、さらには全体が褐色へ

red wine aging
赤ワインの熟成による色の変化
(左:1958 イタリア キャンティク・ラシッコ) (右:2017 フランス ラングドック)

白ワインでは
グラス縁から 透明~オフホワイト~イエロー~黄金~オレンジへ

若いワインに見られるレモンイエロー色から、熟成によって黄色へ、さらには金色へ

white wine aging
白ワインの熟成による色の変化
(左:1992 フランス ピュリニーモンラシェ) (右:2017 フランス ラングドック)

銘柄や年代によってワインの色は異なりますが、いくつもの月日や経験を積み重ねてきた人生と同じように、グラスの中でゆれるワインにも様々な色を見つけることができます。

②聴覚

ワインの色を長めながら、熟成感や香り、味わいのイメージを膨らませたら、次は「音」。

まずは、ボトルの口に収められた「コルク」を抜くという行為から音が生まれます。

具体的には、ワインオープナーのスクリューをコルクに差し込む「グッグッ」という音。

コルクを引き上げ抜けた時の「スポッ」という音。

次の音は、グラスにワインを注ぐ時に聞こえます。

「トットット」 とか 「ポコポコ」 「トクットクッ」と聞こえますでしょうか。音を文字で表現するのは難しいですね。

また、発泡性のスパークリングワインでは

「シュワシュワ」  「プチプチ」  「サーッ」

という泡からのリズミカルで小さな音に心が躍ります。

③触覚

ワインボトルに触れ、「ボトルの重さ」「ガラスの触り心地」「ラベルの紙質」からワインの存在感を感じられます。古いワインであればあるほど近年産とは異なる質感で、年月の経過を感じ取れます。

古い年代のワインは手工業時代と重なり、ガラスの質が厚さが均一ではなく、気泡が入っているモノや、厚く重いモノも見受けられます。

紙にはざらつきや、破れキズ、汚れによる変質も見受けられます。

1952年産 CHATEAU COS D'ESTOURNEL
ヴィンテージワインのラベル紙質やコンディションの一例

④味覚

熟成した赤ワインは渋みのタンニンが甘味に代わり、酸味や渋みなどに調和と複雑味が生まれます。ドライフルーツのような甘さやや樹皮などの乾いたニュアンスを覚えます。

熟成した白ワインはバランスよくまとまり優雅な余韻が長くなります。若いワインにみられる、レモンなどの柑橘果実のとがった酸味は丸く落ち着いてゆきます。とろみやボリューム感が出てきたり、ほろ苦い酸化したニュアンスが出るタイプもあります。

赤も白も、自然の力で凝縮したヴィンテージワインは、喉を優しさと共に潤してくれます。

そして、舌からの味覚だけでなく、ご自分の「心」も潤されるてゆくことにすぐにお気づきになることでしょう。

⑤嗅覚(香り)

フレッシュな果物の香りは落ち着き、熟れたニュアンスが感じ取れます。

熟成ワインの代表的な香りは、

  • ドライフルーツ
  • ドライフラワー
  • ナッツ
  • タバコ
  • シナモン
  • 紅茶
  • きのこ
  • 腐葉土
  • 枯れ葉

など、大地や土壌など自然をイメージさせられ複雑です。

* 香りと記憶の話 *

香りからイメージされる食材や物質が多く、記憶をたっどてゆくうちに過去に同じ香りを嗅いだシチュエーションが思い出されて時間が経つのを忘れてしまいます。

これには、他の感覚にはなく嗅覚だけが持つ脳の仕組みに原因がありました。

臭いを感知するとサインが嗅球へ運ばれます。
次に嗅球は、脳の大切なパーツの一つであります「扁桃体」へつながります。扁桃体は喜怒哀楽など感情を判断する役割を担っています。
次に記憶を司る「海馬」へとつながってゆきます。

臭いは、記憶と感情の処理に関わる脳の部位と密接につながっていたのです。

ワインの香りを嗅いで、子供の頃に行った山登りを思い出したり、ある日のレストランディナーのメニューを思い出したり、自分でも忘れていたようなこれまでの様々なシーンが不意に思い出されることがお有りでしょう。

理由がここにあったのです。

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※ヴィンテージワインをもっと楽しむ「ワイングラスの種類」「料理の合わせ方」は続編をお楽しみに!

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