月の輝く晩でした。 ランスロット・ウインカーとマルト並んで夜道を、ゆっくりとあるきながら家に向かっていました。
月の輝く晩でした。
ランスロット・ウインカーとマルト並んで夜道を、ゆっくりとあるきながら家に向かっていました。
「今日は寒いね。」
「そうね、寒いわね。」
マルトがそうこたえるだけで、ウインカーの寒さも和らいできます。
普通だったら自分の心の中でそっと思いとどめておくような話もできる人が側にいるというのは、ウインカーにとって初めてで、予想外の幸せでした。
「もっと寒くなったら、あなたに買ってもらったクリスマスローズが咲くわよ。どんな色の花が咲くか、楽しみね。」 ウインカーにはマルトが好きだというクリスマスローズが、どんな色の花を咲かせるのか見当もつきません。 マルトと一緒にならなかったら、知らずにいた花だったかもしれません。 「春が過ぎて、夏がくる頃に花が終わってしまうけど。そうね、女の子だったら花の名前もいいかもしれないわね。ランス、どうかしら。」
「もっと寒くなったら、あなたに買ってもらったクリスマスローズが咲くわよ。どんな色の花が咲くか、楽しみね。」
ウインカーにはマルトが好きだというクリスマスローズが、どんな色の花を咲かせるのか見当もつきません。
マルトと一緒にならなかったら、知らずにいた花だったかもしれません。
「春が過ぎて、夏がくる頃に花が終わってしまうけど。そうね、女の子だったら花の名前もいいかもしれないわね。ランス、どうかしら。」
マルトには新しい命が宿っていました。
ウインカーもこうして新しい家族が増えていくことをとても喜びました。
それまで、ウインカーにとって家族とは、ただ失われていくものすぎませんでした。
体の弱かったお母さまは幼いウインカーを残して他界し、お父さまは戦死しました。
一緒に暮らしていたエドュアールおじいさままで病気で亡くなりました。
おじいさまは、由緒正しいフランス貴族で、ぶどう園の農民に土地を貸していた大地主でした。
屋敷の地下の蔵にはおじいさまのワインなどのコレクションが山と残されましたが、18歳になる頃には、ウインカーはひとりきりになってしまったのです。
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