ワイン樽

ワイン樽について



写真:新樽や2回目以降使用の樽が積まれているセラー
※左上の一番手前の樽の鏡面に樽生産者の焼き印があるのが確認できます
もともとは液体の貯蔵を目的としたオーク樽ですが、昨今ではワインの製造工程のひとつとして捉えられてきています。
ワイン樽の使用の程度は、生産者のワインに対する志向や哲学そのものを反映しているかもしれません。
ずっと以前より、フランスやドイツなどの地域ではワインにスタイルを与える要素として、オーク樽内での貯蔵と醗酵が行われてきました。
近年の樽のブームは、カルフォルニアやチリ、オーストラリアなどの生産者が積極的に使用してワインの品質と価値の向上に寄与したことが元になっているようです。
樽で貯蔵・醗酵したワインといっても、超高級ワインを除いて、一般には新樽と1回以上使用済みの樽を上手に使い回しています。
上の写真のように新樽と2回目以降使用の樽が詰まれているのが通常の光景です。また樽が空いている期間が長いと樽にも良くない影響があるのでこの樽の使い回しのスケジューリングも経営の要素になります。
フレンチオーク種の木材を使用した新樽は10万円し、アメリカンオーク種の木材を利用したものでも3~5万円するのですから樽によってもたらされるフレイバーはワインの価格にも当然反映されています。

樽はいろいろな産地のブナ科のオーク種の木材が使用され、樽板の内側の焼き具合も生産者や樽によっても微妙に違うようです。
そのため新樽使用率100%というシャトーでは、たいがい10社程度の樽生産者と取引をして、ワインのニュアンスを樽のブレンドでも調整します。
樽の鏡面に各社の焼き印が押されていますので機会があれば見付けてください。
ちなみにフランスで最も一般に使用される樽の大きさは、ブルゴーニュ地方で228リットルサイズ(ワイン304本分)、ボルドー地方では225リットルサイズ(ワイン300本分)となっております。

また厳密には「ボルドー地方の樽(※バリク・ボルドーと呼ばれています)」の強度は3種類もあり、輸出用(樽の胴回りに金属が8重も巻かれているもの)、 輸送用(樽の胴回りに金属が6重に巻かれているもの)、シャトー用(シャトーでの使い回しに配慮されているもの)があります。
なお、ドイツのモーゼル地区などでは樽の香りを付けない方が良いので、何度も洗ってアクを抜き、新しい樽には絶対に良いワインを詰めないということも皆さんの記憶の片隅にあって欲しいと思います。

樽の効用

さて樽の使い方ですが、その使用期間や使用方法などは生産者によってまちまちです。
一般に言われる樽の効用は主に以下の3点が挙げられます。
瓶に詰める前の醗酵や貯蔵過程で樽を使用することがワインの成分に変化を与えます。
さすがに新樽100%のシャトーでもセカンドラベルは新樽の成分の強さにワインが負けてしまうので、セカンドラベルでの使用比率を落とし、50%に抑えているところも多いようです。

1.適度な酸化反応

コントロールされたゆるやかな酸化反応はタンニンなどによる苦味や刺激を抑え、色素も安定させます。
また酸化反応によって生成される物質がワインのアロマの要素を複雑かつ重厚にします。

2.樽の容器から抽出される成分の添加

特に新樽を好んで使う生産者は樽から抽出される成分のワインへの添加を主目的にしていることもあります。
樽材の樹木の値段もこれらの要素が大きいようです。
厳密にはフレンチオークの産地や部材によっても成分が微妙に違うようです。またウイスキーなどでは重要視される内容になりますが、樽のサイズ(樽の表面積と液体の体積との割り合い)が液体へ強く影響します。


3.樽内での還元発酵

ボルドー地方のサンテミリオン地区やポムロル地区などでは意識的に行われています。
樽内で発酵させることで樽の木の成分がワインにスムーズになじむと言われています。